十年間忘れられなかった男へ - 腹でなすびを育てています

こんにちはＭくん、お元気ですか。

最後に会った日からもうすぐ2年が経とうとしていますね。

わたしはあなたのLINEのアカウントをふたつ知っているのですが、最近片方が消えていることに気づきました。

もし残っている方も昔のもので使えなくなっているんだったとしたら、わたしはもうあなたに連絡をすることはできないのでしょうか。

わたしから連絡をすることはありませんが、でも、しないのとできないのって天と地ほど差があると思うんです。

もちろん、確認なんてしないけれど。

あのね、結婚しました。

LINEのタイムラインには載せたんだけど、わたしのウェディングドレス姿は見ていただけたでしょうか。なかなかかわいかったと思うんです。

まあ見ていないだろうし、見ていたとしてもきっとあなたの心にはなにもしこりを残せなかったと思うのですが。

中学3年生の頃、あなたに恋をしました。

それは知っているよね。告白して、受けてもらったこともあったもんね。

半年間付き合って2回しか会わなかったお付き合いだったけど。手すらつながなかったけれど。

あのときわたしがもっと積極的になにかできていたら、違っていたのでしょうか。

別れてからもわたしはあなたを忘れられず、時々同窓会を開いてはまるで何もなかったかのように接して、またふたりで出かけられるまでになって、神戸にデートにも行ったし、横浜にも行ったね。

その横浜でのデートが最後。その2か月後、わたしは旦那と出会いました。あなたを好きになってから11年目、わたしは旦那と婚約をして先日式を挙げ、名字が変わりました。

わたしには旦那以上の人はいないと思っているし、いまとても幸せです。

それでも、今でもときどきあなたの夢を見るよ。

たとえ仮にまたどこかで再会したとしても別にどうこうなりたいわけではないんだ。

ただ、でもあなたがときどきわたしを思い出してくれたらなと思います。

世界でいちばんすきでした。

別にかっこよくなんてないし、背もそれほど高くはなかったけれど、信じられないくらい努力家で、どんどん遠くへ・どんどん高くへいくあなたがすきでした。

そんなあなたのとなりにいつか立ってみたかった。

でもあなたが学区でいちばんの高校に受かったときわたしは二番の高校に落ちたし、わたしが中堅大学に行った頃あなたは京大に行っていたね。

すきだったし認めてもらいたかった。

半年の付き合いが終わったとき、あなたはわたしを「友達としてしか見れなかった」と言ったけれど、それでもわたしはあなたに会うとき頭のてっぺんからつま先まで新しいものを買って、美容室に行って、ネイルをして、世界一かわいくなろうと必死でした。

もしも来世があったとしても、わたしはいまの旦那と一緒になりたいなと思います。

でも、来世では、少しくらいあなたに追いかけてもらいたいなと思ってしまうよ。

いつかまた出会うことがあれば、それまでどうかお元気で。

わたしは新しい名字で、懸命に生きていきます。

dorikoさんが作った、ボーカロイドのletter songという歌が好きでした。

～10年後の私へ～

今は誰を好きですか

それとも変わらずにあの人がすきですか

わたしはこの歌のこの部分を聞くたびに泣きながら、「もしかして10年後もまだMくんが好きなのだろうか」と考えていたけれど、そうでした。

わたしは10年間ずっとあなたのことが好きで、ようやく11年目、別の誰かを愛することができました。

どうかあなたも幸せに。

でももしも、望みを言えるのであれば、あなたが結婚するときは。

海外出張先で出会った現地の人とか、4か国語が堪能で年収が2000万円を超える5歳年上の女の人とか。

わたしじゃ到底かないっこないひとだったらなと思います。

そしてもしも叶うのならば。

お互い素敵な家庭を築いて、子供もある程度手が離れてから。

みんなでまたどこかで会って、笑いあえますように。

（そのときあなたの頭がずいぶんと薄くなって、お腹も出ていることを祈ります）